太極とは？  東洋哲学の古典に「易経」があります。これは中国古代の占いの書であり、人生の運命を予知する哲理の書です。儒教の聖典として五経（易、書、詩、礼、春秋）の1番目に挙げられます。
この「易経」の根本にあるのが、陰陽（両儀）思想です。
「易経」に「易ニ太極アリ．是レ両儀ヲ生ズ．両儀ハ四ヲ生ジ．四象ハ八卦ヲ生ズ．」とあります。
これは太極から八卦の出来るまでの流れを示しています。この八卦とは八卦掌の八卦であり、占いで言われる「当るも八卦、当らぬも八卦」の八卦です。
天と地に別れる前に存在したものが太極であり、この太極は見ることも、触ることもできない無限の大きさをもった円で、混沌（カオス）としてまとまっていない状態のものです。
この混沌の中に一点の気、元気が生じ、混沌が陰陽の両儀に分かれたとされています。つまり、この気によって天地万物は陰陽の両儀に整然と分けられたのです。
これが太極の宇宙観です。
しかし、ここで気を付けなければいけないことがあります。
この陰陽思想は性善性悪説やブルジョアジーとプロレタリアートに見られるような、西洋的な極二元的思想でなく、天地万物は陰陽が入り混じって引き合い結び合っているとして、互いに循環し合って、陰が減れば陽が増大し、陽が極限に達すれば陽が減少し、陰が増してくることになります。
北宋の学者
周濂沃（1017〜1073）が太極図を描き、「動が極まって静となり、静が極まって動となり、動中静あり、静中動ありと、無限に変化する陰陽の中に生成と発展があり、果てしない循環の中に調和と統一が保たれている」としています。
自然の営み、人間の健康も全て陰陽の調和により成り、自然と人間は対立するものではなく、自然のうつろいに従って人間はうまく調和を図っています。
従って、自然との調和が乱れると病気に、そして更には死に至ることになります。
この思想が太極拳に生かされているのです。
この陰陽の変化の法則を「道」といい、この道がわかれば、占いでいえば、自分や他人の運勢が予知できるようになり、武術においては、敵の動きが先々まで解って敗れなくなることになるのです。
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中国3000年の永い歴史の中から培われてきた武術の中の一つである太極拳は、３００年程の歴史をもっています。その太極拳の始まりは中国明代（1500年代初め）であり、兵隊の戦力を増強するために民間で行われていた、幾つかの武術流派の動作が『拳経』にまとめられ、その後、17世紀中頃に河南省温県陳家溝（陳家村）の陳王庭がこの「拳経」から発展させて「陳式太極拳」を編み出したと言われています。
最初は秘伝の拳法でしたが、十四世の陳長興(陳氏第14世)の時代に、楊露禅が、毎夜陳一族の練習をのぞき見をし、一人で密かに工夫していたところ、それを知った陳長興にその熱意を認められ、授けられたところから、今日のいろいろな流派が生まれるところとなったと言われています。
陳式太極拳を学んだ楊露禅が「楊式太極拳」を編み、さらに楊登甫が発展させ、楊式太極拳を学んだ呉全佑が「呉式太極拳」を編み出し、呉鑑泉が発展させました。
さらに武
禹襄が楊式から「武式太極拳」を誕生させ、これを学んだ孫禄堂は形意拳の歩法と太極拳の手法を取り入れて「孫式太極拳」を編み出します。
このように太極拳は中国文化遺産の見地から見ても、多くの種類／流派が発展していきましたが、大きな流派として、５大流派があります。
（現在では、五大流派以外に興隆してきた流派もあります。）
■陳式太極拳
■楊式太極拳
■武式太極拳
■呉式太極拳
■孫式太極拳 トップへ戻る |
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このように２世紀以上に渡って、５大流派のように発展してきた太極拳を伝統太極拳と呼びます。
太極拳は、その時代の流れによってその目的を変えていき、それぞれの風格や型に特徴を持つ流派ができてきました。それぞれの流派はとても良いところをそれぞれに持ってます。
しかし、流派だけと考えると範囲は限られますし、各々の流派の太極拳自体はとても難しい内容もあります。そうなると、普及するには大変難しくなります。
このため、1956年で中国国家体育運動委員会を中心に、民間の武術家を集まって、一般の人でできるような太極拳をまとめて、国家制定拳として編集しました。それが、「簡化24式太極拳」です。
この24式太極拳は楊式太極拳を主にして、他の流派の良いところも融和し、最も簡単にした太極拳となっています。
さらに、88式太極拳、太極推手、32式太極剣
等が国家制定拳として整備され、技術の向上、普及に寄与しています。
国家制定拳は伝統拳を基礎に創られていますので、その精紳面、風格の要求は一致したものがあり、身体鍛練、健康維持、病気治療法として大きな効果があります。
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太極拳とは？
